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─*─
街行く人々の賑やかな雑踏を背に少女が歩いていた。
少女が歩くのは平嘉市内でも収入の多い家庭が集まる地域。
その地域に在りながら尚目立つ、豪華な一軒家の前で少女が立ち止まる。
「はぁ、……居ませんように」
他から観たら羨ましい程の豪邸でも少女にとって、そこは地獄以外のなにモノでもない。
叶わぬ願いを口に、地獄の門に手を掛ける。
扉は、僅かな力を加えただけでその口を開く。……まるで少女を待ってましたと言わんばかりに。
(……やっぱり、入りたくない…)
無駄な抵抗だと分かっていても、つい玄関の前で立ち止まってしまう。
「おかえり。……何をしているんだ?早く入りなさい」
玄関口で固まっていると、中から男が顔を出して少女を招入れる。
少女は男に引かれるまま、家の中へと。
中に入って行くと外観に劣らない豪華なリビングが目に入る。
明るいクリーム色に統一されたリビングには男の同僚が四人。
ソファーに腰掛けて、薄型のプラズマテレビを観て歓談していた男達が少女に気付いたのか振り返る。
「やぁ、おかえり」
男達は皆一様に微笑み少女を迎える。
そして………
「じゃ、そろそろ始めようか?」
男がそう言ったのを合図に悪夢が始まった。
「…ん……ぃや、」
少女は形ばかりの抵抗を試みるが五人分の手がそれを赦さない。
あぁ
こうして私は………
ケ ガ レ テ ユ ク
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