~弐~

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「……ッえ!?」 慌ててリビングに駆け込んだ樹央は目の前の光景に唖然とした。 「わぁぁぁぁぁあ!ギブッ!ギブッ!」 「やぁ!とぅ!」 賢斗は床に仰向けで倒れて、その上にピンク色のワンピース姿の小さな女の子が跨がり、クッションで何度も賢斗を殴りつけていた。 「……え~っと……………」 「サキ。何をやってる?」 その場で樹央が絶句していると、後から来た早苗が少女に問う。 その声で早苗の存在に気付いたサキと呼ばれた少女は、満面の笑みを作り早苗に走り寄る。 「サナエ。ふほーしんにゅーしゃ!サキがたおしたよ!!」 早苗の足に抱き着いたサキは嬉しそうに言って、立ち上がろうとしている賢斗を指差す。 サキの身長はせいぜい早苗の腰ぐらいまでで、ウェーブを描く明るい茶色の髪が、肩に届くか届かないくらいの処まで伸びている。 その髪の間から見上げ来る大きめの眸は髪と同じ明るい茶色。 「良くやったな」と微笑い、サキの頭を撫でる早苗。 その姿は仲の善い親子のようにも想えて、樹央は見取れていた。 そうしていると、いつの間にか樹央の隣りに来た賢斗が尋ねる。 「樹央、お前って妹いたのか?」 「いや、いない」 サキを指差して尋ねる賢斗に、樹央は首を振って応える。 そして、楽しそうにサキと笑い合っている早苗に眼を向ける。 すると、その視線に気付いた早苗がサキから眼を外して樹央を見る。 .
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