~弐~

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「ハラ減ったな」 「は?」 謎の少女──サキについての説明を期待した樹央は、早苗の何の脈絡も無い言葉に目を丸くする。 「ハラが減った!」 だからどうしろと言うのだろうか? 樹央が頭を抱えたい衝動に狩られていると、早苗は強い口調で言う。 「だから飯を作れ!」 まるで心を読まれたかの様な命令に樹央はドキリとする。 しかし、直ぐにその命令が早苗の我が儘だと想い、反論の言葉を紡ぐ。 「なんで、俺があんたの為に飯を作んないといけないんだよ! あんた、母親ならその辺の物使って自分で適当に作れば良いだろ?」 「その辺の物使うも何も、この家、材料が無かったぞ?」 「あ、………」 早苗に言われて気付く。 「今朝、全部使い切ったんだった……」 「それで、弁当がおにぎりと漬物だけだったのか」 樹央の呟きを聞いた賢斗が納得した様に唸る。 早苗は盛大なため息を吐いて、財布を取り出す。 「これで、材料買ってこい。 サキ、何か食べたい物有るか?」 「あ、おぃ……」 「勝手に決めるな」と言おうとした樹央の言葉をサキが遮る。 「おむぅらいすぅ!」 「だ、そうだ。 ついでに、お前はこれ買って来い」 そう言って早苗は樹央に財布を、初対面である筈の賢斗に何かのメモを渡す。 そのまま、抗議の声を上げる二人を強引に玄関まで送り出す。 「じゃ、頼んだな」 と、ゆう理由で。 ━━再びマンションの前━━ 「で、結局その中身は?」 「ん」 「げ、酒ばっかじゃん!」 賢斗が差し出した袋の中を覗き、樹央が呆れた声を出す。 「未成年に酒なんか買わさせるなよなぁ~」 「本当、何者なのあの人?」 樹央に釣られた賢斗も盛大なため息と共に尋ねる。 しかし、その問いに答えが返って来ることは無かった。 .
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