~弐~

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「ただいま…」 つい一時間程前に通った経路を同じ様に通り、玄関のドアを開けた樹央は誰にとも無く呟き、荷物を下ろす。 賢斗も樹央に続いて中に入り、ドアを閉める。 その音を聞き付けたのだろう。 リビングからトタトタと足音が廊下を渡り、玄関に近付いて来る。 「おむぅらいすぅ~!」 「ッうゎ!」 声と共に現われたサキが樹央にタックルよろしく飛び付いた。 樹央はタックルの勢いに耐え切れずに仰向けに倒れ、頭を床にぶつけてしまう。 それを見ていた賢斗は苦笑を噛み殺し、倒れた樹央の腹に馬乗りしているサキを抱き抱え退かしてやる。 「痛ってぇ~」 「ククッ……大丈夫か?……クックッ」 打付けた頭を押さえながら、ムクリと上半身を起こして呟く樹央に賢斗は、未だ苦笑を噛み殺したまま、手を差し延べる。 「大丈夫に見えるか? だったら、その目は節穴だ」 苦笑を噛み殺す賢斗に手を借り、立ち上がった樹央は恨めしそうに「眼科にでも行ってこい」と呟く。 しかし、賢斗は気に止める様子も無くサキを連れてリビングへ進む。 残されたのは、樹央と…… 「これ、一人で持てってか……?」 ……四つの買い物袋。 .
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