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それから暫くしてオムライス四人前とコンソメスープ、サラダが出来上がった。
「出来上がり。っと
賢斗、運ぶの手伝ってくれ」
樹央はカウンターにオムライスの入った皿を置き、リビングでサキと戯れている賢斗に呼び掛ける。
賢斗はそれに応え、ソファから起きて樹央が作った料理をカウンターキッチンの手前に置かれた、ダイニングテーブルの上に並べて行く。
「お、美味そうだな」
丁度料理を並べ終わった頃、タイミング良く早苗がダイニングに入ってきた。
その姿に賢斗は赤面して俯き、樹央は右手の腹で顔を覆い、天井を仰いだ。
「………………////」
「……何やってんだよ。
あんた馬鹿か?」
呆れた声で言う、樹央の前には早苗の姿。
風呂上がりの為か
ほんのりと上気した朱色の頬、
水分を含み更に艶の出た黒髪、
それと正反対の白磁の様な肌、
っと、ここまでは良いとしよう。
しかし……
「……なんで、服を着てないんだ!?」
バスタオル一枚で覆われた肢体は、
元から型が良く大きな胸部や、抱き締めれば折れてしまいそうな程細い胴体を強調させ、そこから延びるしなやかな四肢は顕になっている。
その格好はとても官能的で、とても高校生の子供がいるとは思えないくらい若く、美しかった。
……それ故に賢斗は俯き、樹央は嘆息したのだか。
「私の家だ。
どんな格好でも、私の自由だろ?」
樹央達の心情等、知るよしもない早苗は、バスタオル一枚で辛うじて隠された胸を張って見せた。
「他人様(ヒトサマ)が来てんだよ!」
早苗のあまりに堂々とした態度にとうとう、堪え切れなくなったのか、樹央が声を荒げる。
「何を言う。
誰が来ていようと、
此所が私の家には変わりないだろう?」
「他人(ヒト)がみてるから、羞じらいを持てって言っているんだ!」
「ふん。
赤子なんぞ産まれた時は裸だぞ?
タオルを巻いている分、
私の方が羞じらっているじゃないか」
「比べる対象がおかしいだろ!?」
聞いている方が恥ずかしくなりそうな言合いを始めた堺親子をよそに、賢斗はサキを連れてリビングに避難していた。
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