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─*─
月明りが暗い室内に差し込む。
暗い室内に光を与える光源は、その月光とPCのディスプレイから漏れる明かりだけ。
そんな部屋にカタカタとキーボードを叩く音だけが響く。
「……ふぅ、警察も大した事無いな」
今まで動かしていた手を止めて、部屋の主の男は小さく呟く。
部屋の窓から仰ぎ見る月は明るい満月、生憎、星の姿を見る事は出来ないが、闇夜にぽっかりと浮いた満月はそれだけで充分美しかった。
そんな月を見て男が想い馳せるのは、一番の友人。
解りやすい意地っ張りで、それなのに素直じゃなくて、不器用な程真直ぐ。
そして、誰よりも暖い優しさを持っている。
(アイツだって、根っから嫌ってる訳じゃないだよな? ただ、過去が過去だけに素直になれないだけで……)
せめて、この夜だけは彼等に安らかな時が流れますように……
そんな想いを胸に男は床につく。
「素直に甘えたって良いんだぜ、樹央」
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