~参~

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自嘲的に小さく笑い、サキの髪をソッと撫で付けていると、部屋のドアが開いた。 「本当にそう想うか?」 そう言いながら入って来たのは黒のパンツとTシャツ姿の早苗。 「……何の事だ?」 樹央は、突然の問いに意味が分からず、問い返す。 すると、早苗は呆れたようにため息を吐き、眠ったままのサキに視線を送る。 「その娘を、サキを羨ましいと言っていた事だ」 「ッな……!?」 先程の愚痴とも取れる独り言を聞かれていた。 そう考えると、羞恥と後悔が一度に体中を駆け巡るのを感じ、それを悟られまいと早苗を睨む。 しかし、そんな事など気にも止めず、早苗は静かに言葉を紡ぐ。 「何故、その娘を羨ましいと思える? お前は、サキの事を何も知らないのだぞ」 早苗の口から出た言葉に樹央は、カッと頭に血が昇り、そこから来る怒りに任せる様に早苗に怒鳴り付ける。 「ッ!!……俺がこの娘の事を知らないのは、あんたが説明も無しに勝手に、連れ込んで来たからだ! 何時だってそうだろ!! あんたは、何も言わない! それで相手が解ってくれると思っている!! 自分勝手なんだよ、あんたらは!」 その怒鳴り声に眉を顰め、早苗は宥める様に樹央に言う。 「解ったから、そう怒鳴るな。 サキが起きてしまっただろ」 「あッ……あぁ」 その言葉に樹央は、自身の傍らに首を向ける。 そこでは、確かに早苗の言う通り、サキが眠そうに瞼を擦りながら、二人を不思議そうに見上げていた。 「……はぅ~~、サナエ?」 「ふふ、悪いなサキ。 起こしてしまったな」 サキがベッドの上で首を傾げると、早苗は優しく微笑いかけて、サキをソッと抱き上げる。 「まだ、起きるには早い時間だ。 寝てて良いんだぞ?」 早苗がサキに微笑いかけたまま、そう言うとサキは腕の中で、ウトウトしながらも小さく頷いて直ぐに寝息を立て始めた。 .
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