S山湖の恐怖

4/13
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
小さいといえど週末のホテル街。 私達の車の前方には赤いランプがチラチラ見えます。 カップルが乗っているであろう車が1台…また1台と暗闇に光る看板の奥へと消えて行きます。 「みんな燃えてんねぇ~」 二人でケラケラ笑い、ロックをガンガンに流しつつ、陽気にホテル街の奥へと車を走らせました。 父親が話していた道へ……。 ホテルを通り過ぎると、道を走る車は私たちのものだけ。 木々が生い茂り、街灯もありません。 ハイビームにしたライトが、どんどん闇に吸い込まれてしまうほど、真っ暗な道が続きます。 もう数メートル先が見えるのがやっとな状態。 ふとカーナビを見ると、いつの間にか地図上の道が消え、現在地を示す三角形だけが動いています。 「この道地図に載ってないんだね…」 そう呟いたとき、 ガタガタッ と車が縦に揺れました。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!