S山湖の恐怖

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さっきまで、私たちは数メートル先が見えるのがやっとだった。 真っ暗だったから…。 それなのに…… なんでお堂が見えた? なんでその横に道があるって分かった? 見えるわけ無かったのに……。 それに気づいていた彼は、声を荒げたんです。 でも、進むしかないんです。 引き返せないから…。 奇妙な分かれ道にあったのは、 古ぼけて赤茶色のペンキが塗られた木製の小さな地蔵堂でした。 その脇にあった下へ続く道は街灯の無いアスファルト製4メートル幅位の道路。 今走る道より広くキレイでした。 道の先は暗闇……。 それなのに、卒塔婆と墓石が道の左側にあるのが分かります。 恐らく墓地と寺。 よく分からないけど、何だか絶対曲がってはいけない気がする。 「おい……どっち?」 急に降りかかった質問に私は体が強ばりました。 「な、何が?」
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