S山湖の恐怖

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「どっちの道に行くか聞いてるんだよ!早くしろよ!」 (何だ。彼か…) とホッとしたのもつかの間。 妙な違和感を理解した途端、沸き上がる気持ち悪さ……。 光ルハズノナイ木製ノ地蔵堂。 暗闇ニ続ク不自然に広イ道……。 人間、スプラッターよりも何が何だか解らない状況が一番怖い事なのかもしれません。 一刻も早くこの場を立ち去りたい。 「聞くまでも無い!曲がれる訳ない!絶対曲がっちゃダメ!」 と、私が言うより早く彼はアクセルを踏みます。 バックミラーには、地蔵堂とポッカリ空いた闇が映っていました。 しばらく目が離せず、私はじっと見つめていました。 今思えば、バックミラーでお堂が確認できたのも変なんですよね。 明かりがなかったのに……ねぇ。
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