第1章:青の邂逅_1

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「これでええやろ、で、話は?」 さっさと話を進めたいと言うのに、やれ姿が見えなければいいという問題じゃないだの、また後でかけなおすだのと文句を垂れていたが、さして気にするでもなく右から左に聞き流した。 「どうせ今聞くんも後で聞くんも一緒やろ、小言はええから早よ報告」 「もぅ…!響さんはもうちょっとデリカシーと言うものをですね…」 「雅」 「…っ、…昨夜未明からRedとYellow国境付近にある赤の関所の国境警備隊と、定時連絡を最後に通信が途絶えていた件なのですが…」 蛇口を捻って水流を止め、髪から滴を滴らせながら、響は昨晩に通信でそれらしき報告があった件を思い出す。 「…それは藤堂大佐があのクソ金ぱ…4班に調査に行かせたやろ、またなんかあったんか」 「それが今朝、Blueの鉱山方面にある二つ目の関所が…同じように連絡がとれません…こちらから何度もアクセスしても応答なし、ジャミングの形跡もなく、関所の状態が確認できない状況にあります」 「…そっちには俺らが確認しに行けと?」 「いえ、そちらの関所への調査は、九重班長率いる1班が向かいます。 あの付近にはBlue鉱山のREDへの輸出用列車があり、関所が機能していない今、警備が手薄だと物資の定期輸出に支障が出かねないとのことで、今回私達はそちらの警護にあたります」 「…ふぅん、列車の警備ね…そんなん分隊の奴らの仕事のはずやろ、俺らが駆り出されるやなんて、随分とまあ人手が足りてへんみたいやねえ」 「それは…先の市外地でのレジスタンス鎮圧のため、そちらに回せる人員がいないものですから…。 Violetも、いつ動き出すかわからないですし…」 「Violet…なあ」 Redと敵対している国、Violet。 その国との国境に、Red国の関所をいくつか設置し、多くは他国侵攻の防波堤の役割を果たし、国外からの入国者には関税をかけていた。 いつもは提時に仕事内容を報告するための定期連絡がある。 その関所からの連絡が取れなくなったと言うことは…。 「…レジスタンスか紫のやつらか、まあ何にせよ詳しい話は後やな。 雅は資料集めて第3会議室行っとって、俺は草太と朝飯食ってからいくわ」 「了解です、それではまた後ほど…」 雅との通信が切られ、響はさっさと目的の人物を呼びに行くために髪をタオルで大雑把に拭い、シャツと軍服を着てシャワールームをあとにした。
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