第四節 天国か地獄

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それは過去に最もエドワードが欲した力―――魔力 決して多い量とは言えない だいたい十二、三歳の子供の平均魔力量 だが、その魔力にはハレイやリリスとは全く異なった感じを受ける 質量や密度、と言ってしまえばそれまでだが明らかにエドワードの魔力の奥底には普段、彼が表に出さない感情――喜怒哀楽が篭められていた それは美しくもあり、儚くもあり、同時に醜くもあった 時折見せる怒りの感情では見たものを戦意喪失させるほどの力を持っていた エドワードの体から渦巻きながら出る魔力は徐々に剣に伝っていく 伝っていった魔力は大剣の刀身に貪るように奪われていく しばらくすると魔力の放出が止まる 大剣は先程までと見た目に変化はないが刃からただならぬ物を感じる そのただならぬ気を纏う剣を見ていると漆黒の刃が見せる感情の深い深い深淵の部分に吸い込まれるようだった
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