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だが、ハレイはその微弱な魔力の膜すら身に纏わない
いや、纏えないのだ
それほどまでに先程エドワードが放った一撃は重くハレイに傷を負わせたのだ
ハレイは再び俯けていた顔を上げエドワードを眼下に捉える
エドワードは―――無傷
だが、自分はどうだ
体中の骨は軋み悲鳴をあげ、筋肉もはっきりと動かず体力はおろか魔力も褶堅に纏っている分を除くと後、僅か………
恐らく、次の一撃を防げるほど自分には余力がない
これほど、自分の力の無さに後悔したことがあっただろうか
いや、一度だけあった
自分が幼少の頃、他と全くといっていいほど交流がない小さな村に住んでいた時
一匹の魔族によって村の皆が殺され揚句目の前で両親が殺されたちょうどその時
幼いながら悔やみ恨んだ
己の非力さに………
そぉいやぁ、とハレイが呟き
俺は何の為に力を欲したんだっけなぁ、と思った
そうだ
ハレイは一気に顔を上げる
俺は自分と同じような人を出さない為に力を欲した
ハレイの瞳には再び闘志が甦った
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