第四節 天国か地獄

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エドワードが漆黒の大剣の準備が完了した、ちょうどその時ハレイの異変に気付いた 先程まで圧倒的な力の差を見せ付けられ瞳は絶望しか映していなかったが今は闘志が宿っていた そして 「もっと力を!」 言った 同時にハレイの体から底を尽きかけていた筈の魔力が渦巻きながら溢れる それは留まる事を知らないようでただひたすら魔力を放出する そしてエドワードは気付いた 彼の意識が既にないことを 「これはっ!」 今まで二人から少し離れた場所で黙っていたリリスが声をあらげた 「エドワード様っ、これは」 普段冷静な彼女が僅かながら取り乱していた 「分かっている。オーバードライブだ。心配するな、今、止める」 オーバードライブ 自身に宿る魔力の限界量を越え、ある一線を越えると魔臓器官が暴走し非常時の治癒や魔力の完全消耗を防ぐ為に幼少時から少しずつ溜められた魔力が一斉に体から放出されるという説が有力 実際のところ定かではない エドワードは未だ顔色一つ変えずただひたすら魔力を放出し続けるハレイを見据えていた
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