第四節 天国か地獄

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だが、分裂した漆黒の風の刃は突如方向を各々変える それは左であったり右であったりはたまた上や下に曲線上に曲がる どうやらこの風の刃にはハンドリング能力もあるようだった ハンドリング それは何であろうと自在に操る事を可能にする力 その力は全てが能力を行使している者に及ぼす 曲線上に曲がった風の刃は方向は変えども対象、即ちハレイに向かう ハレイは未だに魔力を放出させ続け気を失ったままだ そして、とうとう漆黒の風の刃はハレイの目前に迫った しかし、その直後 互いに漆黒の風の刃が衝突した 同時に大爆発が起きたのではないかと思わせるほどの音、爆風、そして―――衝撃波 その全てを目の前で受けたハレイは気絶しているとは言え大量の魔力に包まれた一種の魔装甲の強化版ごと直ぐ後ろにある壁に再度打ち付けられた もっとも、魔力に包まれたその体に怪我はなかったようだが だが、今の衝撃波や爆風によってオーバードライブは止められたようだ 何も纏わないその体躯は無慈悲にも壁から崩れ堕ちた
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