第四節 天国か地獄

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彼女―――リースは息が荒くなっているのもお構いなしに直ぐに頼まれた仕事を始める 「ハァハァ、では始めます」 リースは再び両手をマルコとハレイの額の上に乗せる そして 「――――с――κε―δγ―――」 小声でボソッと呟く それは、一見魔法の詠唱のようにも聞き取れるがこの世界の魔法では詠唱時、大きさを問わず魔法陣が必ず展開される だが、今のには魔法陣がなかった リースはやるべき事が終わったのかエドワードの方に体を向け跪づいた 「終わりました、主」 「助かった、ありがとう」 エドワードはうっすらとだが微笑みを見せる その笑みをリースが見逃すはずもなく頬を赤くしていた 彼女のいや、彼女達の心に秘めたエドワードへの思いは明らかだった だが、そんな笑みも一瞬直ぐに何時ものキリッとした表情に変わる
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