第五節 世界から離隔されし物達

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「あぁ、そいつなら今日編入して来た奴で、あのクライシス家の捨てられた子供だとさ」 クライシスの名が出た途端、ネリエルの表情が歪む 「まじかよぉ………っていうか捨てられたってどういう事だぁ?」 「聞く限りでは魔法も使えず、魔力も無い落ちこぼれだったとかなんとか」 と、その言葉に間髪を入れず 「嫌々そりゃねぇだろ。こんな事出来る奴が落ちこぼれだったら、この学園の殆どの奴は屑以下の汚ねぇ微生物だぜぇ」 そのよく意味が分からない比喩に、相変わらず何言ってんだか分かんねぇなぁ奴だなぁ、と思いながらも適当に相槌を打っておくハレイ 「………それもそうだよなぁ、あいつ普通に魔装甲出来てたし」 脳裏に、あの時のエドワードの姿を浮かべながら 「それってどっちのだ?」 恐らく、魔装甲と魔膜の事を言っているのだろう。内心、まさか、と思いながら 「あぁ“本当”の魔装甲の方だ」 ハレイのその言葉に、ネリエルは思わず口の中に広がる唾を飲み込む 手から煙草のような物の灰が落ちるのも気にせずに 「それ、どっちかつぅと落ちこぼれっていうか天才の部類の奴だぜ」
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