第五節 世界から離隔されし物達

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(さて、始めっか………) ネリエルは一度、瞼を閉じる 更に一度、大きく深呼吸する パッと目を見開くと、ネリエルの目の回りには皮膚と同色の血管が浮かび上がり、瞳の色も瞳の回りの白色に変色し、目の淵だけが元の色のままの状態に変わる (覗き開始ぃ!) 正式名称は、心眼白縁 人間女性に稀に起きる突然変異による力の事で、この力持つ女性は何十年に一度生まれると言われている この力の本質は、心の目で対象の心、即ち精神と繋がりを持ち対象の身体の内部を覗くこと それは、相手も知らない身体的特徴を知る事が出来たり、病気、細胞の異変も細部まで全て知る事が出来る 更には、対象が掛けられた魔法や呪いの類までも覗く事が出来る 最初は心臓から始まり、血脈を流れる感覚を伴いながら、右手から出て右足を回り、左足に入り左手に入り脳までの経路を循環する (これは!やっぱり!) 脳に達した時、ある異変に気付く 脳の中で、記憶を司る部分が黒い魔力に包まれたような痕跡があったのだ ただ、気になるのは真新しい痕跡の奥に更に古い痕跡があった事だ
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