第五節 世界から離隔されし物達

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「まさかな…………」 誰にも聞こえない程、小さな声で呟く 動きをとろうとしないエドワードを見た彼女は言う 「もし、私を昼の奴のように倒せると思っているならその考えは正すべきだぞ この刀は名を死刀闇朧と言ってこの世に切れぬ物は無いと言われる程の名刀中の名刀 お前の一時の迷いや油断は死へと繋がることになる」 要は、さっさと構えろという事だろう だが、そんな彼女の思いも裏腹に未だに彼は呼吸をする以外、一つの動作も取らない 二人の間に静寂という沈黙が訪れる 「悪いが、時間切れだ。構えないのならそれでも構わない。ただ、眼前の敵を倒すのみ。では、行かせてもらうぞ」 長い長い沈黙に痺れを切らした彼女は、上記の言葉をエドワードに伝え一歩一歩と少しずつ擦り寄っていく 彼女にとっての間合いにエドワードが入り、右手に持つ刀を右斜め下から左斜め上に向かって振り上げた だが、それは空気を斬るだけに終わった エドワードは体を少し後ろに引き僅か数㎝の所で避ける それと同時に、エドワードは彼女の間合いの外に離脱する そして
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