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「って事が昨日ありまして」
「…」
実は、あの本借り物なんです。
という訳で私・八代紫乃(やしろ しの)は次の日学校の教室で謝っておりました。
借り物パクられたとなっちゃ…流石に謝らないと。
相手の女々しい外見の少年は私の持っている本をジッと見ていた。
…そりゃまぁ同じ本なら気にもなりますか。
「でも本は同じもんなんだろ?なら問題無いと思うが?」
本の本当の持主でクラスメイトの文神尭(あやがみ たか)はそう言った。
そりゃ中身に書き込みなんてされてなきゃ私だって黙ってたよ…
(あ、ダメ?)
それを尭に話すと、「う~ん」と言った。
「ちょっと見せてみろ」
「え?あぁ、どぞ」
私が本を見せると、尭はペラペラと本の頁を捲った。
「…こりゃ相当量読んでるな、この本の持主」
「そうなんだよね。肯定してる場所もあれば否定してる場所もあるし」
「ま、運命論なんて結論は出ねぇよ。永遠のテーマたこれの事だよ」
尭はクツクツと笑いながらそう言った。
…確かにそうだけどね。
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