第二十三章 最終決戦(後)

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身体が動かせないが隠力は発現できる。やろうと思えば攻撃も可能だ。   しかし黒幕の真意を知りたいのも俺の中にはあった。それは蓮や吉宗にとっても同じだろう。二人も手出しはしようとはしない。   「事の発端は十五年前、大戦初期の頃だ。あの頃はまだ隠力には謎が多く、解明もされていなかった。無論わしも隠力者ではなく、隠力に興味を持っていた一人間に過ぎなかった」   十五年前……俺達が流奈姉さんに拾われてすぐの時……そして、俺も源蔵と同じく隠力者ではなかった時だ。   「大戦の凄まじさはお前達も身をもって体験したことだ。あれは『隠力』がいかに異能の力かをしらしめる機会にもなった。五年前に終戦を迎え、わしは帝国との友好の証として総務大臣へと選ばれた。ここまでは誰もが知る事実であろう?」   その問いに答える者はいない。俺を含め三人は源蔵を見つめ、終始口を挟まなかった。   「これは必然であった。大戦終期、隠力連合の優位は覆らず、帝国側は話し合いの場を仕向けてきた。当然その席に赴いたのは総合指揮をとっていたわしだ。彼らはこう言った。『あなたの希望はできる限り叶える。だからこちらの降参ではなく、互いの停戦終結をしてはくれまいか』と」   次々と明かされる真実……俺達が戦っている間、水面下ではこんな事があったのか。   もう終わった事なのはわかってはいる。わかってはいるが、何か気にいらない。
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