第二十三章 最終決戦(後)

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「わしは二つの条件を挙げた。一つは総務大臣という役職。もう一つは、十五年前からひそかに続けていた隠力の研究だ」   「それが人工隠力というわけか」   「そうだ。闘刃、お前のおかげでわしは可能性を見出だすことができたのだ。感謝せねば」   胸糞悪いことを言う。これは顔にも出ているな。感情はあまり外には出さない主義だが、俺の隠力を可能性などとほざくのは結構頭にきた。   しかし怒鳴ったところで現状は変わりはしない。結局は特に何も言わず、源蔵の話に流れをまかせた。   「人体実験成功者第一号は自分自身。十五年の歳月をかけ、ようやく隠力を手に入れた。のちに適合する人材に隠力を投与し、新たに特殊部隊として彼らにその材料を集めさせたわけだ」   これで全部なのか、源蔵の話は止まる。とは言っても俺達は身体の自由を封じられており、行動は起こせない。   まずはこれをなんとかしなければ。その矢先だった。   「待て。まだ不可解なことが残っている」   源蔵に言ったのだろうか。それとも俺に言ったのだろうか。どちらともとれる吉宗の言動はブれていなく、言い淀みのない一言であった。   「こういうのは普段は闘刃が言うんだが、人工隠力者らを集めて何をするつもりなんだ?目的を言え」   不気味な笑い声が聞こえる。源蔵だ。今までに見たことのない、言い換えれば源蔵らしくない下品な笑い方をしている。   「簡単なことだ。富国強兵をわしは掲げておる」
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