第二十三章 最終決戦(後)

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「さぁね。僕を倒せたら教えてあげてもいいよ」   突如奴は自分を消した。姿を影に潜めたか。   隠力の気配を探ろうにも、特殊部隊というのは理由はわからないが、その気配をほぼ零に抑えることができるらしい。   俺は壁を背にし、自分の影に注意を払いながら視線を左右にとめどなく変えていく。   やりにくいな。本来ならこういう相手は逃げるにかぎる。   逃げる……そうだ。逃げてしまえばいい。何で俺はこの場に留まっていたんだろう。   思いついたが先、まずは庭園を抜けるために城の奥へと進む。   当然奴は足止めするために俺に短剣を投げてくる。しかし止まっているならまだしも、こうして走っているのなら投擲も正確さがない。   ……振り切るのは無理か。だったらせめて影の少ない場所に行かないと。   再び城の内部へと入り、辺りを見渡す。ここは見たことがある。一階中央付近だ。   人の気配がしてそこに目を向けると、中央に位置する階段途中に、帝国兵らと戦っている長身の男がいた。   「……吉宗?」   間違いない。あんな大きな剣を扱うのはあいつくらいだ。   上の階に行きたいのだろうが、押し寄せる兵らの数があまりにも多く、先へ進められなくなっている。   「まさか逃げるなんて思わなかったよ」   一方ゆったりとした足どりで颯はこちらへやって来る。   ……あいつも巻き込んでしまおう。そう結論づけ、階段の近くまで駆け抜けた。  
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