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向こうも背後から何かが来ているのを感じ、こちらに気付いてくれたようだ。
吉宗は体勢を整えるため一度階段から下がり、俺と背中合わせになって大剣を構える。
「そっちも?」
「あぁ。すこぶる相性の悪い相手だ。というわけで交代しないか?」
「調度よかった。俺もあんなチマチマしたのと戦うのは苦手なんだ。……あいつが影の?」
「隠力の詳細を説明する時間はない。ただ、吉宗なら俺よりは戦いやすいと思う」
「よ~し、じゃあ行きますか!!」
体をひねり、俺達は逆方向へと走った。帝国兵らは意表をつかれたようで、咄嗟には動けていない。
そのまま直進的に階段を上がり、帝国兵らの中へと突っ込む。
奴らもいつまでも呆けてはいない。なんせ自ら敵へと寄ってきたのだ。手に持った剣は飾りではなく、凶器。それを遠慮なく叩き込んでくる。
だが俺には当たらない。結界のおかげで、物理攻撃なら完璧に防ぐことができる。
相手の剣撃を弾くようにして駆け上がり、集団を抜けた所で後ろを向き、親指だけを下に指した。
『地獄に堕ちろ』という羅国特有の手振りだ。
帝国兵が血の気が多い連中で助かった。相当に憤慨しているのか、一斉に追いかけてくる。
二階に到着し、俺はすぐに後方全面に見えない壁をつくった。
「観念した……ヌハッ!!」
ものの見事にぶつかり、先頭の人間につられて面白いように階下へと転がっていく。通常に比べここの階段は長く、天井までの高さもそれなりにある。まぁ軽い怪我では済まないだろう。
……あとは来る者拒まず去る者追わず、だ。
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