第二十三章 最終決戦(後)

9/10
前へ
/339ページ
次へ
向こうも背後から何かが来ているのを感じ、こちらに気付いてくれたようだ。   吉宗は体勢を整えるため一度階段から下がり、俺と背中合わせになって大剣を構える。   「そっちも?」   「あぁ。すこぶる相性の悪い相手だ。というわけで交代しないか?」   「調度よかった。俺もあんなチマチマしたのと戦うのは苦手なんだ。……あいつが影の?」   「隠力の詳細を説明する時間はない。ただ、吉宗なら俺よりは戦いやすいと思う」   「よ~し、じゃあ行きますか!!」   体をひねり、俺達は逆方向へと走った。帝国兵らは意表をつかれたようで、咄嗟には動けていない。   そのまま直進的に階段を上がり、帝国兵らの中へと突っ込む。   奴らもいつまでも呆けてはいない。なんせ自ら敵へと寄ってきたのだ。手に持った剣は飾りではなく、凶器。それを遠慮なく叩き込んでくる。   だが俺には当たらない。結界のおかげで、物理攻撃なら完璧に防ぐことができる。   相手の剣撃を弾くようにして駆け上がり、集団を抜けた所で後ろを向き、親指だけを下に指した。   『地獄に堕ちろ』という羅国特有の手振りだ。   帝国兵が血の気が多い連中で助かった。相当に憤慨しているのか、一斉に追いかけてくる。   二階に到着し、俺はすぐに後方全面に見えない壁をつくった。   「観念した……ヌハッ!!」   ものの見事にぶつかり、先頭の人間につられて面白いように階下へと転がっていく。通常に比べここの階段は長く、天井までの高さもそれなりにある。まぁ軽い怪我では済まないだろう。   ……あとは来る者拒まず去る者追わず、だ。
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!

695人が本棚に入れています
本棚に追加