第二十三章 最終決戦(後)

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‡   帝国兵らが階段から崩れ落ちていく。何をしたか知らないが上手くいったか。   気は抜けない。今対峙しているこの影を操る隠力者には、禅とは一味違った威圧感があった。何をしでかすかわからない 、そういった部類の感覚だ。   「僕の役目は二人のどちらかの足止めだからいいんだけどね」   「へぇ~、じゃあ支障をきたしていないか?闘刃は行ってしまったし」   隠力はまだ普段の四分の一くらいの力しか使えない。打撲傷は我慢すればいいが、こればかりは時間が必要になる。   なるほど。闘刃が俺に任せたのはこれが理由か。   「どちらか、だよ。上にはまだ源蔵がいる。果たして彼は倒せるかな?」   「余裕だ。闘刃ならな」   「彼を信頼しているんだね。羨ましいよ」   本当に読めない奴だ。不気味さは拭えないものの、殺気が全くない。しょうがないからやってる……雰囲気的にはこうだろうか。   「さっきお前は二人を、と言ったな」   「そうだね。二人だよ」   「…………そういうことか」   なんでこいつらがこんな真似をしているのか、ようやくわかった。源蔵の企みはこれだったのか。   しかしそうなると、この戦いの意味は……   「理解したようだね。そうさ、僕らのやっている事に意味なんかはない。いつもなら僕はやらないんだけど、最後くらいは守っておきたいんだ。主との約束は」   どいつもこいつも……。特殊部隊の人間は皆こうなのか。融通のきかない、熱い奴らだ。   「いいだろう。決着がつくその瞬間まで、お前に付き合ってやる」   俺も大概に馬鹿だな。
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