第二十四章 終焉の果て

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噛み合った一撃は師に軍配が上がった。反動で二、三歩分後退してしまったが、私の拳は破壊されていない。   ひとえに隠力のおかげだ。もし生身だったら今ので骨が砕けていただろう。   その隠力を足した攻撃でさえも、師の力には圧倒されている。   「ほぅ、耐えたか」   劣勢は続く。師の拳撃は避けるごとに頬を切るような風圧を生じ、私にとっては常に必殺で、その作業は命を削り取るに等しかった。 だが完全無欠というわけではない。身体が大きい分、懐ががら空きになることが多々ある。   そこに機を伺い、私は重力を一点に集め、低い重心から振り上げるように顎へと反撃に打って出た。   「何っ!?」   当たると思っていたその攻撃は、顎ではなく分厚い手の平であった。それと一緒に来る激痛。腹だ。横腹を蹴られてしまった。   胃液が逆流するような感覚を必死に堪える。相手は待ってくれないのだ。   追撃だけは逃れるため、即座に足に反重力をかけて今いる位置から離れた。   「ふぅ……っくぅ……」   軽く打った場所をさする。骨までは達していないようだ。下に着ていた特殊防護服が生きた。   しかしこれで攻めることがより難しくなる。あれを防がれては……。   「わしの隠力は瞳力。動体視力を大幅に高めたこの目がお前の一撃を察知した」   わざわざ教えてくれる辺りは師らしいが、それで全て納得とはいかない。あの目……まだ何か秘密がありそうだ。   「後悔させますよ。教えてくれたことを」  
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