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噛み合った一撃は師に軍配が上がった。反動で二、三歩分後退してしまったが、私の拳は破壊されていない。
ひとえに隠力のおかげだ。もし生身だったら今ので骨が砕けていただろう。
その隠力を足した攻撃でさえも、師の力には圧倒されている。
「ほぅ、耐えたか」
劣勢は続く。師の拳撃は避けるごとに頬を切るような風圧を生じ、私にとっては常に必殺で、その作業は命を削り取るに等しかった。
だが完全無欠というわけではない。身体が大きい分、懐ががら空きになることが多々ある。
そこに機を伺い、私は重力を一点に集め、低い重心から振り上げるように顎へと反撃に打って出た。
「何っ!?」
当たると思っていたその攻撃は、顎ではなく分厚い手の平であった。それと一緒に来る激痛。腹だ。横腹を蹴られてしまった。
胃液が逆流するような感覚を必死に堪える。相手は待ってくれないのだ。
追撃だけは逃れるため、即座に足に反重力をかけて今いる位置から離れた。
「ふぅ……っくぅ……」
軽く打った場所をさする。骨までは達していないようだ。下に着ていた特殊防護服が生きた。
しかしこれで攻めることがより難しくなる。あれを防がれては……。
「わしの隠力は瞳力。動体視力を大幅に高めたこの目がお前の一撃を察知した」
わざわざ教えてくれる辺りは師らしいが、それで全て納得とはいかない。あの目……まだ何か秘密がありそうだ。
「後悔させますよ。教えてくれたことを」
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