第二十四章 終焉の果て

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見えてはいない……が、確かに伝わってくる。師の殺気が闘気と交じり、異様な空気を醸し出しているのが。   「羅刹流……羅闘気」   聞いたこともない羅刹流技を名乗った瞬間、身体全体に輝く黄金の光が覆うようにして師に纏わり付いた。   私は何度も瞬きをし、これが非現実であることを願った。しかし確固たる証拠は依然存在し続けている。   隠力でもない……あの力は、じゃあ何だというのか。   「初代皇帝叉流奈にしか会得できなかった裏羅刹。これがその一つだ」   「裏……羅刹……」   私の知らない羅刹の技がまだあったというのか。   「こうなった以上、わしの勝利は揺るぎはしない。せめて安らかに……死ね」   消えた。そう思考を始めた時には私は重い衝撃を受けて吹き飛んでいた。羅闘気を帯びた師の打撃は特殊防護服を安々と貫き、直接的に私の肉体に損傷を与えた。   「ガハッ……ゴホッ……グェホッ……」   吐血を止められず、血溜まりが地面に出来上がる。肺をやられてしまった。それに近くの骨も……   「重力で衝撃を少し抑えたか。流石だ。そうでなくてはわしの弟子ではない」   「やらせ……るかっ!!」   迫り来る師をなんとか動けなくするため、遠隔重力を仕掛ける。多大な精神を削る隠力ではあるが、もはや温存などの余裕はない。   「無駄なことよ。この羅闘気には……効かんぞっ!!」   「あっ……ああ……」   重力が師の咆哮により全て消え去った。それはつまり、私の心が負けを認めたということ……   「……蓮、お前もここまでよ。だが悔やむことはない。裏羅刹を出させただけでもお前は想像を超えていた」   もう師は私の目と鼻の先まで来ている。   私は師に勝てなかった。   宗吉、闘刃、執行委員会の皆。   私は……情けない委員長だったな。   すまない……   ここが、私の命の灯を落とす場所のようだ。   「さらば、蓮」  
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