第二十四章 終焉の果て

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‡   「おっと……」   走っていた足が急にぐらつく。ほんの僅かな時間でしかなかったが、地震でも来たような揺れを感じた。 発信源が近かかったような気がする。ひょっとすると最上階……か?   幾分か走る速度を速め、残る階段を上がっていく。   道中、帝国兵に出くわさなかったのには不思議に思ったが、今はそれに構ってはいられない。出ないなら出ないにこしたことはない。   「……あれは」   最上階への最後の階段、その入口付近に、見たことのある人物が道を塞ぐようにして仁王立ちしている。   ある程度の距離をとり、俺は一旦立ち止まった。   「……あんたは味方なのか?それとも敵なのか?」   蓮を見逃してくれた張本人、禅は答えてくれない。   しかしあの巨大な斧を肩に担いでいるからには、すんなりと通してはくれなさそうだ。   「主殿の闘いの邪魔はさせぬ」   「蓮と、か……」   俺は瞬時に偽剣を生成し、禅と相対した。   「羅刹の武人の闘いに水を差すというのか」   「殺されるのをわかってて見過ごせるか。意地でも通らせてもらう」   手の平に水素弾を凝縮させ、球を作り出し、直ぐさまそれを禅に投げた。   爆発はすぐに起こり、粉塵を撒き散らし、部屋一帯が茶色がかった煙に覆われる。   当てるつもりは毛頭ない。これはあくまで目眩まし。   姿が見えない内に俺は死角から攻め入った。迷いなどない。見えなくとも相手の位置は必ず決まっているからだ。   間合いまで入り、偽剣を上段から、煙を切り裂くように斜めに振り下ろす。  
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