第二十四章 終焉の果て

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頂上から見える景色というのは須らく壮大で、目を奪われるものがある。   だが俺の目指した頂上というのは悲惨で、思わず目を背けたくなるようなものだけであった。   おびただしい量の朱い血を地に流す俺の親友は、この離れた場所からでももはや手遅れだと、暗に感じてしまっていた。   「いましがた決着はついた」   源蔵の落ち着いた野太い声も今の俺には聞こえない。   蓮の近くまで寄り、すぐ隣に片膝をついた。   触れたくない。触れれば全部わかってしまう。   しかし一縷の望みを賭けて、俺は彼女の命の真偽を覗いた。   「……ハハッ……ハ……ハ……」   笑うしかなかった。なにが『望み』だ。あの源蔵が相手を仕留めるのにそんな誤差を出すか?   あるわけがない。   蓮は死んだ。   蓮は……死んだ……   蓮は…………   「お前はどうする?わしを殺すか?お前なら本気を出せば簡単だろうがな」   「……訳がわからない。俺にはあんたの事が全然わからない」   怒りに身を任せるな。源蔵を殺したところで何が変わる?   答えは何も変わらない。ただ俺の感情が自己満足するだけ。ここは抑えろ……抑えろ……抑えろ……   「……駄目だ。もう自己満足でもいい。あんたを殺す」   隠力を全快にし、空気中に水素のエネルギーを集約させる。特大の水素弾。一発で町一つは壊滅できる破壊力はある。この至近距離なら逃げられもしない。   「それでいい。さぁ殺れ」  
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