第二十四章 終焉の果て

10/12

694人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
源蔵が無抵抗なのは疑問に思ったが、何にしろその思考もすぐになくなる。   ……なんだか俺らしくない。仲間の敵討ちなんて、それで蓮が生き返るわけもないだろう。   だけど、蓮の無念は晴らしてやりたい。   意志を固め、自分の倍はあろうかという大きさの集約したエネルギー体を源蔵へと狙いすまし、隠力の力で飛ばした。   目でギリギリ追えるくらいの速さを持ったそれは、文字通りの大爆発を引き起こす……はずだった。   「……!?」   しかし予想していた現象は生じず、放ったエネルギー体は霧散して跡形もなくなったのだ。   「吉……宗?」   失ったエネルギー体の中心にいたのはもう一人の親友だった。確かにこんな芸当は吉宗しかできないだろうが……   「何のつもりだ。どうしてそいつを庇う?」   吉宗に源蔵を守る義理はない。まさか今更になって殺すのは止めろと考えているのか?   「闘刃、冷静になれ」   「何も知らないのか。そいつは蓮を殺した。死の報いをしなければ俺の気が済まない」   「蓮が死んだのは俺も知っている。でも、今だけは俺を信じて攻撃を止めてくれ。頼む」   「…………」   こいつは本当にあの吉宗なのか? ならなぜ蓮を殺されて平気でいられる? お前を信用していいのか? 頭の中で様々なものが思い浮かび、うごめく。   その結果導き出した答えは……   「……しょうがない」   腕を下げ、隠力を解除する。結局俺は吉宗の言葉で頭の沸騰が冷めていった。   「ありがとな」   苦しげな表情で出したそのお礼は、どうしてか少し痛かった。
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!

694人が本棚に入れています
本棚に追加