第二十四章 終焉の果て

11/12

694人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
「間に合ったみたいだね」   「颯、それに禅……」   背後からやって来た二人に戦意はなかった。もう足止めとやらは終了したのか。   担げられなかったのか、禅は引きずるようにして颯に連れられている。   「主、受け渡しは終わったんだね?」   その颯の問い掛けに源蔵は首を縦に振る。……受け渡し?   「闘刃、蓮は今仮死状態に陥ってるんだ」   「仮死……」   「そう、『裏羅刹』ってやつの継承法を受けるとそうなるらしい」   ……いまいち話の流れが掴めない。ただ、仮死状態だというのは可能性はある。 俺が使う隠力は流奈姉さん程扱い慣れていないので、仮死か本当の死なのかまでは判別できない。   「それは確かな情報なのか?」   「俺も颯から聞いた話だ。完全には信じていない。でも……」   「そこからは僕が話すよ」   禅を適当に置き、颯が源蔵に肩を貸して俺達の近くまで寄ってくる。   さっきまでの覇気は何処へやら、源蔵には気力が心なしかないように見えた。   「主は本当は隠力の適性はなかったんだよ」   「は?」   そんなはずは……   『適性のない人間が強引に遺伝操作を行えばその人間は精神崩壊を起こし、死に至る』   この一説は隠力継承が発見された当時から立証されている。しかし源蔵はまだ現実に生きている。   「薬品投与で今までなんとか生き延びてきたのさ。でも、それも限界が近付いてきてね」   「抗体ができてしまったのか」   効き目は人それぞれにしろ、永遠に効能がある薬は滅多にない。   俺がやらなくとも源蔵の命はもう……。
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!

694人が本棚に入れています
本棚に追加