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…………。応答無し。
それに加えて、怒鳴り声はどんどん活火山の如く大きくなり、ガッシャーン、パリーンと何ともこの可愛らしいショートケーキの家には相応しくない音が響いてくる………。
ちょっと、いや素晴らしく穏やかじゃない家だな………。
もう一回お腹から声を出して頑張ってみようかな……
頑張れ!姫花!
と自分を鼓舞させつつチャイムに手をやる。
ピンポ――ン
「すみませ~~~ん!!!!!!!プリカン便で~~~す!!!!」
自分でもビックリするぐらいの声量が出た。
一瞬ショートケーキの家からの音が止まり、そこらへん一帯にしーんとした空気が流れる。
ガチャ。
薔薇の門の奥のドアがゆっくり動いた。
ドアを開けたこの家の住人と思われる人間は、今までの怒鳴り声の主ではないようだが、あの穏やかではない空間に似つかわしくないスラリとした爽やかな男性だった。
その男性はとても親しみやすい笑顔を見せて、
「すみません、ちょっと待ってて」
と駆け寄り、門をあけてくれた。
「君の事は全て聞いているんだから、プリカン便だなんて嘘つかなくていいのに﨏
今日からヨロシクね。姫ちゃん!
ちょっとうちの怪獣が暴れていたから、今使用人に片付けさせていてバタバタしているけど、あがってあがって」
私はあまりにも爽やかすぎる笑顔に圧倒されながら、男性の後について行った。
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