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「ごめんなさいっ///なんか……入りづらくて」
恥ずかしくなって俯いたんだけど爽やかな男の子は優しく微笑んでくれた。
「ごめんね。でも……プリカン便って」
色素の薄い繊細な造りの笑顔は思わず見とれてしまうくらい。
今まで見たことないくらいの美形だった。白いシャツが眩しくて夢でも見てるみたい。
……でも
なんて言ってたっけ?
可愛いメルヘンな家ん中に何がいるって??
「何があったんですか?」
恐る恐る聞いてみると、男の子はにっこり微笑んだまま
「僕の縄張りを荒らそうとしたから少しばかりお仕置きを……ね」
目が笑ってない。
「……えと」
後ずさった私を綺麗な瞳が逃がしてくれない。
――ダンっ!!!!
耳が風を感じるのと彼の手が壁を打つのはほとんど同時だった。
「………………………そう言えば君も、いや……お前も俺の了承なく踏み込んでくる節操なしのメス犬だったな」
声のトーンが急激に低くなる。目つきがさっきまでとは別人だ。
誰なのコレ!!!!?
「だが仕方がない。お前を預かるようにと言い含められたからな。ここに住みたいのなら下手な詮索はするな。俺と関わるな。その間抜け面を見せるな」
もはや笑顔さえ作る気がないらしい。呆気にとられる私を見て
ああ、と思い出したように彼は息をついた。
「俺は西園寺 要(さいおんじ かなめ)。この家の所有者……つまり主ってことだ。よろしくな、“奴隷姫”」
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