好奇心

5/5
前へ
/107ページ
次へ
「きゃっ、冷たいっ!」 奈々子は、すぐに我に返った。 「あれ? どぉ~したんです、先輩? あれあれ? 私、何で裸?」 「とりあえず、リビングに戻りましょ?」 私は、素早く着替えると、奈々子を連れて浴室から出た。 テーブルの上には、灰皿とライターが置いてあり、黒いフィルターの吸い殻があった。 奈々子が服に着替えると、さっきの事を聞いてみた。 「ナナちゃん? あれを吸ったのね? さっきのは、どーいうつもり?」 奈々子は、キョトンとしている。 「えっ? さっきのって? 私、何かしたんですかぁ? 煙草吸ったのは、謝りますけど…」 どうやら、さっきの事は何も覚えていないようだった。 「…あの煙草を吸った途端に、頭が真っ白になって、気分が良くなるっていうか、何もわからなくなるっていうか… とにかく、ストレスが吹っ飛んじゃいました♪」 奈々子は、説明しようとするが、自分でもよくわからないみたいだ。 興奮剤みたいなモノなのかしら? どっちにしろ、自分がわからなくなるなら、危険なものよね。 奈々子は元々、煙草を吸わない。 そのおかげか、あまり肺には入らなかったみたいだ。 …あのまま、自分を取り戻してなかったらと思うと、私の貞操は…… 私は、ブルルッと体を震わせた。 その後は、何も起こることなく、何気ない話をした。 そして、2人とも明日が仕事だったので、奈々子は大人しく家に帰ることになった。 「明日行ったら、休みだし、警察に届けようかな…」 私は、自分の煙草を吸いながら、考えた 「ふぅーっ。」 そして、奈々子が帰った後に、1人呟くと、例の煙草をタンスの上に置いた。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加