61人が本棚に入れています
本棚に追加
「きゃっ、冷たいっ!」
奈々子は、すぐに我に返った。
「あれ?
どぉ~したんです、先輩?
あれあれ?
私、何で裸?」
「とりあえず、リビングに戻りましょ?」
私は、素早く着替えると、奈々子を連れて浴室から出た。
テーブルの上には、灰皿とライターが置いてあり、黒いフィルターの吸い殻があった。
奈々子が服に着替えると、さっきの事を聞いてみた。
「ナナちゃん?
あれを吸ったのね?
さっきのは、どーいうつもり?」
奈々子は、キョトンとしている。
「えっ?
さっきのって?
私、何かしたんですかぁ?
煙草吸ったのは、謝りますけど…」
どうやら、さっきの事は何も覚えていないようだった。
「…あの煙草を吸った途端に、頭が真っ白になって、気分が良くなるっていうか、何もわからなくなるっていうか…
とにかく、ストレスが吹っ飛んじゃいました♪」
奈々子は、説明しようとするが、自分でもよくわからないみたいだ。
興奮剤みたいなモノなのかしら?
どっちにしろ、自分がわからなくなるなら、危険なものよね。
奈々子は元々、煙草を吸わない。
そのおかげか、あまり肺には入らなかったみたいだ。
…あのまま、自分を取り戻してなかったらと思うと、私の貞操は……
私は、ブルルッと体を震わせた。
その後は、何も起こることなく、何気ない話をした。
そして、2人とも明日が仕事だったので、奈々子は大人しく家に帰ることになった。
「明日行ったら、休みだし、警察に届けようかな…」
私は、自分の煙草を吸いながら、考えた
「ふぅーっ。」
そして、奈々子が帰った後に、1人呟くと、例の煙草をタンスの上に置いた。
最初のコメントを投稿しよう!