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お風呂を沸かすのに、どれだけ時間がかかるのか……
奈々子が浴室から出てくる頃には、料理が出来てしまっていた。
テレビを見て待っていた私は、奈々子に声をかけた。
「ナナちゃん、お疲れ様。
もう、出来てるわよ♪
食べよっか?」
疲れた顔をしていた奈々子の顔に、笑顔が戻る。
浴室で一体何をしてたんだろ?
「わぁ♪
凄い美味しそう!
食べていいですかぁ?」
私が笑顔で頷くと、2人とも椅子に座り、手を合わせた。
「いただきます♪」
「いっただきまぁ~す♪」
私は、テレビのチャンネルを適当に変えながら、食べていた。
奈々子は、ホントに美味しそうに夢中で食べている。
「はぁ~♪
幸せっ♪
先輩と結婚する人が、羨ましいですよ♪」
奈々子は、相変わらずベタ褒めである。
悪い気はしない。
そんな感じで、あっという間に完食。
「ごちそうさまでしたぁ~♪」
「ごちそうさま。」
私は手を合わせ終えると、早速食器を片付け出した。
「ナナちゃん、片付けはいいから、ゆっくりしててね。」
「すいません…
お役に立てないで…」
奈々子は、申し訳なさそうに返事をする。
食器を洗っていると、リビングにいる奈々子から、私を呼ぶ声が聞こえる。
「先輩~?
これって、煙草ですかぁ?」
洗い物の途中で、リビングに向かう。
そして、テーブルの上には、見た事のない箱があった。
大きさは、煙草の箱と同じくらい。
だがそれは、真っ黒で銘柄等の文字が一切描かれていなかった。
「何これ?
ナナちゃんが持ってきたの?」
手に取って調べてみる。
封は切られていない。
煙草と間違えてもおかしくはないけど、こんな煙草は見たことがない。
「違いますよぉ!
先輩のバッグから、黒い箱が見えたんですよ。
お菓子かと思って、出してみたら…
何だろ?て思って、先輩を呼んだんですよ?」
奈々子は、期待した目で私を見ている。
ていうか、私はこんな物知らない。
何で、私のバッグに……
あっ!
あの時、街中で人にぶつかった時に相手の荷物が紛れ込んだんだわ!
返すにも、顔もよく見てないしねぇ…
私は、奈々子にその時の説明した。
「困ったわね。
どうしましょう?」
「開けちゃいましょう♪」
すかさず、奈々子が答える。
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