黒い箱

6/6
前へ
/107ページ
次へ
お風呂を沸かすのに、どれだけ時間がかかるのか…… 奈々子が浴室から出てくる頃には、料理が出来てしまっていた。 テレビを見て待っていた私は、奈々子に声をかけた。 「ナナちゃん、お疲れ様。 もう、出来てるわよ♪ 食べよっか?」 疲れた顔をしていた奈々子の顔に、笑顔が戻る。 浴室で一体何をしてたんだろ? 「わぁ♪ 凄い美味しそう! 食べていいですかぁ?」 私が笑顔で頷くと、2人とも椅子に座り、手を合わせた。 「いただきます♪」 「いっただきまぁ~す♪」 私は、テレビのチャンネルを適当に変えながら、食べていた。 奈々子は、ホントに美味しそうに夢中で食べている。 「はぁ~♪ 幸せっ♪ 先輩と結婚する人が、羨ましいですよ♪」 奈々子は、相変わらずベタ褒めである。 悪い気はしない。 そんな感じで、あっという間に完食。 「ごちそうさまでしたぁ~♪」 「ごちそうさま。」 私は手を合わせ終えると、早速食器を片付け出した。 「ナナちゃん、片付けはいいから、ゆっくりしててね。」 「すいません… お役に立てないで…」 奈々子は、申し訳なさそうに返事をする。 食器を洗っていると、リビングにいる奈々子から、私を呼ぶ声が聞こえる。 「先輩~? これって、煙草ですかぁ?」 洗い物の途中で、リビングに向かう。 そして、テーブルの上には、見た事のない箱があった。 大きさは、煙草の箱と同じくらい。 だがそれは、真っ黒で銘柄等の文字が一切描かれていなかった。 「何これ? ナナちゃんが持ってきたの?」 手に取って調べてみる。 封は切られていない。 煙草と間違えてもおかしくはないけど、こんな煙草は見たことがない。 「違いますよぉ! 先輩のバッグから、黒い箱が見えたんですよ。 お菓子かと思って、出してみたら… 何だろ?て思って、先輩を呼んだんですよ?」 奈々子は、期待した目で私を見ている。 ていうか、私はこんな物知らない。 何で、私のバッグに…… あっ! あの時、街中で人にぶつかった時に相手の荷物が紛れ込んだんだわ! 返すにも、顔もよく見てないしねぇ… 私は、奈々子にその時の説明した。 「困ったわね。 どうしましょう?」 「開けちゃいましょう♪」 すかさず、奈々子が答える。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加