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幸いにも、男の白衣に血が付いていなかったので、首からドクドクと血を流し、動かなくなった男から白衣を剥ぎ取ると、それを着た。
そして、私はハサミを拾うと、その部屋を後にした。
なるべく、目立たないようにしないと……
白衣を着たとは言っても、左手は変な角度に曲がり、髪の毛はほとんど無く、片目も外に半分出かけて、皮膚も焼けただれて変色している。
そして、全身の痛みでフラフラに歩く私は、間違いなく目立っていた。
廊下で、白衣を着た女の人とすれ違う。
私は、顔を見ないように通り過ぎようとする。
「そこのあなた!
そっちは火の勢いが強くて、もう通れないわよ?
さぁ、早くこっちに………」
女の人は、私に話しかけながら、とっさに私の左手を掴む。
ブチブチッ…
骨が折れたせいで、焼けて死んでいる細胞によって、かろうじてつながっていただけの左腕は、エグい音と共にちぎれてしまった。
「ギャアァァァ!」
「キャアァァァ!」
2人は悲鳴をあげた。
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