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純也は、ジャングルジムの前まで来ると、女の子に話しかけた。
「どうしたんだい?
お母さんは?
迷子になったのかい?」
純也は、怖がられないように笑顔で話しかけると、女の子は、泣きべそをかきながら顔を上げた。
その女の子は、泣いて顔がクシャクシャになっていたが、お人形さんみたいに顔が整っていて、かわいらしい黒髪の子だった。
今時の親がバカになるのも解るな……
「降りられなくなったの。
おじさん、助けて……」
そのジャングルジムは、少し大きめで高さが2mくらいあった。
それでも身長が180cmもある純也にとっては、手を伸ばせば頂上にいる女の子を簡単に抱えられる大きさだった。
「さぁ、おいで。
もう、大丈夫だよ。」
純也は手を伸ばすと、女の子を抱きかかえる。
女の子は、笑顔でお礼を言ったが下に降りようとしない。
どうやら、抱っこされるのを気に入ったようだ。
そして、公園の中にある公衆トイレを指差した。
「うんとね。
あそこにお母さんがいるの。
おじさん、連れて行って!」
純也は、すぐそこなので自分で行った方が早いのに…
と思ったが、連れていくことにした。
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