亀裂と記憶

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「雷にとって奈落はどんな存在?」 暫くの沈黙を破ったのは姫羅だった。 「え?…俺にとって奈落は…。(考えた事もないただ奈落に従ってさえいれば自分の夢が叶うそれだけしか考えた事はない。)」 「雷は本当は気付いてるんでしょ!?だから答えられなくて黙ってるんでしょ?」 「うるさい!!!…そうだよ…。俺は本当はわかってる。奈落はいつか俺達を捨てて行く事くらいわかってる。でも!両親を甦らせることが出来るかもしれない!だから俺は奈落についてく。」 「雷…。いつからそんなふうになっちゃったの?昔の雷ならそんな事なかったのに。」 「人が変わるように妖怪だって変わるんだ。姫羅も変わったよ。前まで俺の言うことはすべて聞いてたのに今は普通に反論してくる。でも、今の姫羅昔より好きだよ。自分の意思をちゃんともってる今の姫羅がね。」 「私は今の雷は嫌い。前までの雷が一番好きだった。自分の気持ち押し殺してる雷なんか大嫌い!!!!!」 姫羅は大嫌いを一番強調して叫んだ。 .
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