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数学の宿題のプリントを忘れた。
水城がそのことに気付いたのは、バイトが終わって更衣室で着替えている時だった。
バッグの中に、プリントは入っていなかった。
これはもう、学校に置いてきた以外ありえない。
やっべえ、と思い、時計を見る。
時刻は8時40分。
明日の数学は1時間目だ。
(明日の朝やる暇もねえなあ)
しかし、数学の宿題をやらないなど、オソロシイことはできない。
(数学の池田、マジこえーし)
数学教師の顔を思い浮かべて、水城はげんなりする。
(…しょーがねえ。取りに行くか)
ここから学校まで、歩いて10分走れば5分で着く。
「おつかれさまでーす」
「おう、おつかれ」
店長にあいさつして、水城は裏口のドアを開けた。
真正面の上空に、大きな月が見えた。
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