【序章】

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世の中で言われる“正義”とは、何か。 それは例えば、町に怪獣が現れたときにたちまち駆けつけ、ものの見事にやっつけてしまうヒーローという存在か。 はたまた、悪い奴らに絡まれたとき、逆光の中から現れて助けてくれる、どこかの誰かさんの行いのことだろうか。 どちらも“正義”であることに間違いない。 人々は“正義は悪を倒すもの”と信じて疑わない。そして、正義の二文字に平和と安全を重ね、揺るぎない象徴とするのだろう。 ──本当に、そうだろうか? 世の中に正義が存在しないとしても、悪行は後を絶たないだろう。むしろそれが秩序となる場合もある。だが反対に、悪が存在しない世の中に“正義”が存在することは、ない。 正義は、悪という輝きによって生まれる副産物ではないだろうか。 人々が信じて疑わないこの世の“平和”と“安全”は、本当に“正義”によって守られているのだろうか。 それとも──?
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