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人間と妖怪が共生する世界、幻想郷。
その妖怪の山のどこか…
広く青い空の下、一人の少年が体育座りをし、その空を見つめていた。
「…まいったね」
少年の姿はブレザー、どこかの学校の制服のような印象を受ける。
「ここは何処だろうね?」
少年は独り言を呟きながら、ポケットから携帯電話と呼ばれる遠くの人とも会話ができる機械を取り出し、開いた。
『圏外』
携帯の画面に虚しくその文字が表示される。
「やれやれだね…」
少年は携帯をしまい、ポケットの中に突っ込んだ。
「とりあえずここは元いた世界じゃないだろうね…
今まで何度かこういう経験はあったけど、今回は戻れるかねぇ…」
少年はひどく落ち着いた口調で呟き、体育座りのままで周りを見渡す。
誰もいない。
「…まっ、動くのも面倒臭いし、ここで座って空でも眺めてようかねぇ…」
やる気を感じさせない口調の少年はそのまま空を見つめる作業に戻る。
「空は良い。
心を豊かにするから」
変な事を呟く少年。
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