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* * *
「全然動く気配がない……」
一人の少女が草陰の中である一点に視点を集中していた。
艶やかな緑の髪で、首の下で束ねている。
服は赤を基調としていてどこかゴスロリ服というのを思い出させるデザインだ。
「あの方は一体………」
少女の視線の先にはブレザーを着た少年が空を眺めていた。
少女は何時間か前からずっとここの草陰で彼の動向を監視していた。
ずっと動かず、空を見つめ続けているその少年を何故見張る意味があるのかと言うと…
「彼の厄の量……やっぱり尋常じゃない。
人間に見えるけど…あんな量の厄なんか背負っていたら不幸に見舞われて死んでしまうはず…」
彼女……『鍵山雛』は厄神だ。
厄を溜めこみ監視し、人々に不幸が訪れないようにしている神………。
その厄神の雛は今日、この妖怪の山に突如大量の厄の気配が察知しそれの根源を見つけに来たのだ。
そしてその根源とは…
目の前にいる少年だった。
「もしかして彼は私と同じ…」
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