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「大きな栗の木の下で~♪」
その時突然少年が歌いだし雛はびくっと体を震わせた。
「なっ、何で突然歌なんか…」
雛は警戒心を強めながら少年を観察し続けた。
「貴方と~私~♪」
「童謡……?」
「な~か~よく殺し合い~♪」
「殺し合い!?」
明らかな替え歌に雛は動揺し、後ずさる。
その時、藪を触ってしまいガサッと音をたててしまった。
「しまっ…」
「やぁ、そこにいるのは誰だい?」
少年は雛に気付き、声をかけてきた。
「くっ……」
雛は観念し、立ち上がる。
「そんな怖い顔してどうしちゃったの。
一緒に空でも見て落ち着こうよ」
少年はニヤニヤと含み笑いをしながらそう答えた。
「………」
雛は念の為スペルカードを出しておく。
この少年は油断できない…そう判断したからだ。
「単刀直入に聞きます。
貴方は誰ですか?」
「僕かい?
僕は『風樹 離苦』」
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