111人が本棚に入れています
本棚に追加
「離苦さん……ですね。
貴方は人間ですか?」
話を長くしても仕方ないので、雛は聞きたかった事を自らを離苦と名乗った少年に問い掛ける。
「おや……中々の観察力だね。
もう気付いているかと思うけど、僕は人間じゃない。
『厄神』さ」
「やっぱり……」
離苦は何故か胸を張り、雛を上から下まで見回す。
「君の周りにも厄が集まっている。
君も僕と同じように、厄神かい?」
雛は頷き、さらに問い掛けた。
「こちらではあまり見ない服ですが、貴方は外の世界から来たのですか?」
「ここが別の世界だって言うのならそうなるね。
まぁこの服は人間社会に溶け込む為に、人間に真似て作っただけ何だけどねぇ……」
離苦は独り言のようにそれを言ってから『今更だが、ここはどこなんだい?』と雛に聞いた。
「ここは幻想郷。
妖怪と人間が共存して暮らす世界です」
「成る程。
じゃあ僕の住んでいる世界とは違う。
それにしても、人間と妖怪の共存と言うのは中々良いね」
離苦は納得したように首を縦に振り、呟いた。
「僕のいたところでは、妖怪はいないと思われているからねぇ……
ここでは、妖怪はこそこそと隠れて暮らすか、僕のように人間に紛して暮らさなくても良いんだね……。
まぁ僕は妖怪じゃなくて厄神だけど」
最初のコメントを投稿しよう!