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【お疲れ様でした。これにて初期設定を終了します。それではUPSTARTをお楽しみください】
言い切ると照明が近くから順番に消えていき、すぐに真っ暗になった。
そのまま何かを待ってみるけど。
「……何もおきない」
ぼけーっとターンナイフを持ったまま立ち尽くす俺。とても寂しい。
「俺にどうしろ……とーっ?!」
いきなり明るくなった。
かと思えば、地面がひっくり返った。そのまま後ろに転がっていく俺。
ほどなくして尻を上に向けた状態で止まる。
「……なにごと?」
困惑しながら現状を確認してみる。なにやら豪華な場所だ。城……らしいけど。
なんだ? いきなりゲームが始まったってことなんだろうか?
「クックック……だぁっーはっはっはっはっはっはっ!」
ひっくり返ったままあたりを見渡していると、突然上の方からアホみたいな笑い声が聞こえてきた。
なんだろう。むかつく。
「やっぱり転送先の設定をいじっておいて良かっただろうカナタっ! 見ろよ、あのナッサケナイ格好っ! ぷふーっ」
「悪趣味」
ああ、色々と言いたいことができた。よって起き上がる。
声の主は、俺が転がり落ちたらしい階段の上でふんぞり返っていた。
しかし幻覚かな。
なんか座ってる椅子が王座っぽい気がしなくもない。
「やっと起きたかっ! じゃあ自己紹介だっ! 俺はアルカディア王のダバラ、隣が騎士長のレインだっ!」
「……」
ダバラという男の身なりは確かに派手。シルバーの鎧や黄金のネックレスはすごい。
ただアフロってなんだ。グラサンってなんだ。
隣の女の人は、対照的にとてもシンプル。髪は頭の上で束ねられ、装飾なんて欠片もない黒い鎧をまとっている。
つり目がちで細い目は冷たい光を放っている。まさに騎士ってかんじだ。
ああ……こんなのが王様か。まだ隣にいるレインって女の人の方がいいな。美人だし。
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