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自宅前。
扉を前にちょっとドキドキ。ユウキはHR終わってすぐに帰っていた……っていうか消えていたから、間違いなく家にいるだろう。あるいはもう。
期待に胸を膨らませ、扉をひらく。
「たっだいまー」
「お邪魔しました」
扉は思った以上の勢いで開いた。外開きだった。俺は少し横にいた。おかげで鼻をかすめるだけですんだ。
「お? 説得は終わったぜイオリ。早速ゲーセンへゴーだ」
「ちょっとま、あー」
素早く手を引かれる。文句を言う暇すらない。とりあえずカバンだけは玄関に投げ込んでおいた。
そこにいた母さんに怒鳴られるかと思ったが、逆にしっかりな! と言わんばかりにサムズアップしていらっしゃる。
「流石は口先の魔術師」
関心しつつ引きずられる。流石にいい加減、自分の足で走ることにした。
「楽しみだなイオリ。 これでとうとう俺たちも億万長者への一歩を踏み出したわけだ」
「ああ、そうか。一応そうなるんだよなー…おお! すっげーワクワクしてきたぜ!」
実際、王様はうちの学校の三年にもいるわけだし、わりとイケるんじゃないかって気になってくる。
ふむ。とすればなにか。遊んで暮らせるのか? あわよくば高校生のうちに豪遊三昧?
「頑張るしかねーな!」
勝手な妄想で勝手に盛り上がってしまえるあたり、自分もなかなか単純だとは思うのだが、やっぱりやるなら一番上を狙わなきゃ面白くない。
「いざ夢の入り口へ!」
「おぉ! いつの間にかゲーセンの前ではないか!」
そういえば、我が家から徒歩十分の位置にあったのだったね。
「とりあえず受付だー!」
「よっしゃー!」
ユウキに促されるままに受付へ走り込み、怒鳴られ、紙をもらい、書き込みをし、専用のマシン……まん丸のカプセルに乗り込む。
中は思ったよりすっきりしていた。機械っぽいものは見た目には何にもない。世間に知られているダイビングコネクタとそう変わらないらしい。
「それでは、こちらのヘッドギアとブレスレットを装着下さい」
案内のおねーさんから渡されたヘッドギアをかぶり、ブレスレットを右手に装着。気分が出てきた。
「前面の画面が緑色に光りましたらこちらのスイッチを押してください。ゲームスタートとなります」
前を見れば、確かに壁と一体化するようにしてモニターがつけられていた。横には小さな四角いスイッチ。
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