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部屋を出たらそこには先程の少年が壁によっ掛かる形で出てきた少年を見ていた。
「やあやあ。ロイ・ヘルツェークさんよ、今回は助けにくるのが遅かったんじゃない?」
「お前はもっと反省すべきだよ。クロス・レイウィル」
「はっ! 俺は間違ったことはやったつもりはないけどな」
ロイと呼ばれた少年は呆れた表情でクロスを見る。
彼の手には資料のようなものがあり、ロイはそれに書かれていることを音読しだした。
「ええと、犯人と勘違いして関係ない市民に暴行」
「あれはしょうがない。人相描きに似すぎたあいつがわるい」
「捕まえた犯人は半殺しにして病院送り」
「犯罪者に容赦は必要ないしな」
「そして捕まえるために壊した建物数件」
「犯人は捕まえたんだケッカオーライだ」
「………」
ロイと呼ばれた少年は肩を落としながらおおげさにため息をつく。
クロスに反省を求めるのは間違っていた。とでも考えているのだろうか。
確かにクロスは不具合も多いがしっかりやることはやっている。
少しのやり過ぎ感はいなめないところだが、クロスが軍に残れているのもその仕事の成功率故であろう。
有能であるのにトラブルメーカー。軍上層部の悩みの種であるには間違いない。
「とにかく、お前はやり過ぎなんだ。もう少し力を押さえろ」
「しょうがないだろ俺の使者はみんな手加減が苦手なんだ。それより飯にしようぜ。ハゲルトに説教されて腹減った」
「………はぁ」
もう何をいっても無駄だと悟ったロイは小さいため息をつくと、廊下を歩きだした。
クロスはそれを追う形でロイについていく。
「どこに行くんだよ」
「どこっていつもの場所だろ。」
彼らは城下街へと足を進める。
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