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ベレグラ城下街。
大陸最大の国家ベレグラ共和国の城下街だけあって大陸の商業の中心をになっており、それ故大陸中の特産物だってあつまるし、人も多い。
今も商人達が自らの利益のために競い、助けあいながらせっせと商売をしていることだろう。
「今日はいつにもまして人が多い気がするんだけど?」
「そうか? 近くに祭でもあるんじゃねぇの」
ロイは数秒考えこむと何かに気付き自分の手の平を拳で叩く。
「ああ、そういえば建国1000年記念祭が一週間後にあったっけ」
「つうことはまだまだ人が増えるってことだな」
「そうだね、国中の人が集まるから相当な量になるだろうね」
「―――にしてもここはすいているな」
軍本部から歩いて十数分くらいの場所。
クロスとロイが立つ目の前に年期の入った酒場が一つ。なんとも人を引き付けない雰囲気というかオーラというか、なにか不可視の力を纏っているようである。
それに加え、狭い道を幾重にも曲がってやっとたどりつけるそこは祭が近いにも関わらず人が少ないのは必然といえば必然といえることだろう。
「まぁ、すいてる事に関したら僕らにとってはいいことなんだけどね」
とりあえず二人はぼろい酒場のぼろい入り口をくぐる。
「うーっす。ジャン、今日もきてやったぜ」
「こんにちは、ジャンさん」
「あら二人ともいらっしゃい。今日もスペシャルランチでオーケー?」
「頼むよ」
「お願いします」
二人は軽く返事をすると適当にカウンターに座る。
もう名前と喋り方の差で気付いた人もいるだろうがジャンはいわゆるアッチ系の人である。
ちなみにがたいはかなりよい。
「はぁい、お待ちどうさま。ジャン特製スペシャルランチよ。今日は新鮮なヘンゼル魚が手に入ったから火であぶってブリード牛の牛乳を使ったクリームソースをかけただけのシンプルな料理にしてみたの」
「へぇ。美味そうだ」
「いただきます」
二人は思うまま食事にとりかかった。
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