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そして仕上げに召喚陣の中心にあたる部分へと自らの手の平を押し当てる。
するとロイに描かれた部分のみが緑色の光りを放ち、そしてロイが数歩下がったのと同時に召喚陣を中心に集束するかのように風が渦を巻いた。
一瞬、召喚陣の中が確認出来なくなるほどの砂埃を巻き上げる。
それが収まり、再び目を開けたときには召喚は完了していた。
全身を覆う淡い緑と白の鮮やかなグラデーションを思わせる身体。今は畳んでいるが広げたら風を操り、何よりも速く空を飛ぶ力強い翼。そして愛らしいくも凜とした表情。
大きさは大型の馬より一回り大きいくらいだろうか。
ロイが召喚したのは鳥類の王者と呼び名が高い、テイカイク。その子供である。
「カイ。急に呼び出してごめんな。君の力が必要なんだ。乗せてくれるかい?」
カイと呼ばれた召喚獣テイカイクはそれを了解するかのように一鳴きすると、自ら脚を曲げ、ロイが乗りやすい姿勢になる。
ロイは一言「ありがとう」と呟くとテイカイクのカイに飛び乗った。
「さぁ、カイ。大分遅れちゃったからクロスもきっと怒ってるだろうし、全速力でいくよ!」
カイは再び鳴き声をあげると閉じていた両翼をめいいっぱい広げ、2度勢いをつけると、大きく羽ばたかせた。
両脚は地から離れ、ロイの視点は一気にその場から遠く離れた場所へと変わる。
そこまで強い、風の抵抗はなく、背中から振り落とされる心配はなさそうだ。
さっそく、ロイはクロスの探索を開始する。
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