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俺は嫌な予感に汗を浮かべ、ジリジリと部屋の隅に後退する。
美奈は足の素振りを終えると、俺のみぞおちに視線を向けた。
背筋に悪寒がはしり、身体が恐怖で強張る。
「や、やめ・・・やめてくれ」
ちなみに、美奈がやめてくれた例はない。そもそも、耳をふさいでいるので、俺の懇願はとどいていない。
「くっ!」
俺は壁に背をつけ、両腕を身体の前で交差させた。
「覚悟、できたみたいね?いくわよ?」
美奈は「フッ」と短く息を吐き、助走を始める。
そして
ドーーーーーン!!
ガードは一瞬で弾かれ、爪先がみぞおちにめり込んだ。
足の力は腕の力の8倍といわれる
(それって、本当なんだな・・・)
俺は妙に納得しながら、その場に崩れ落ちた。
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